今日のふとす

モットーは「毎日開店」。

タクシー

今夜はサッカー日本代表のW杯予選だった。

すこしでも早く家に帰るために、

バスを待たずしてタクシーに乗った。

タクシーの運転手さんと話すのが好きなあたくし。

久々のタクシーで、こういう機会でもない限り、

運転手さんと話すことはまずない。

 

乗車後しばらくしてから、

「時期によってお客さんの増減とかってありますかね?」

と聞いてみた。

運転手さんは、「世間は2、8っていうけれど、

これからの9、10、11が厳しい時期だと感じます」

と答えた。

なぜか、と聞いても、ぼくにもわからないんですけどね、

と笑う運転手さんだったが、現場で働く人の声としてのリアルを感じた。

「これからもよくはならないですよ。本当はやめたいんですけど。

 どんどん給料は安くなるし。でもやめれないですよね」

と運転手さんは言った。

ぼくはなんともいえない相槌を打ったきり、

特にことばも見つからず、黙って車に揺られていた。

 

家のそばまでやってきて、お金を支払うとき、

「運転手さんもがんばってください。ぼくもがんばるんで」

などとぼくは声をかけた。

それは紛れもなく何かを言っておかなくてはという、

じぶんを満たすためのことばだった。

ぼくもがんばるから、あなたもがんばれなんていうのは、

まったくもって訳のわからない話である。

それでも運転手さんは、「やるしかないっすよね!」と、

開き直ったかのような明るさで答えてくれた。

その明るさにぼくは救われた気がした。

 

励ましているようで、励まされている。

支えているようで、支えられている。

夜のタクシーは、確実に、快適に、ぼくを家まで届けてくれた。