今日のふとす

モットーは「毎日開店」。

小石

あのとき出会ったあの人と今はこういう形で関係している、

なんてことはあのときには知る由もない。

あのときはあのときに夢中になっていただろうし、

だからこそ今につながっているのだと思う。

一度会っただけで忘れてしまった人たちがどれくらいるか。

一度も話すことなく目の前を通り過ぎていった人たちがどれくらいいるか。

そんなことはわかるはずはないけれど、

ただ人と会うこと、そして話をすることが、

どれだけ普通のことで、どれだけすごいことなのか、

その不思議をおもしろく思う。

 

別れをつらくさみしく感じるのは、

普通のことががどれだけ尊いかということを感じるからだと思う。

それでもぼくたちは今日も、普通のことを普通のように繰り返す。

それができなくなることや、その人と会えなくなることが、

どれだけさみしいことか何度も経験していたとしても、

そんなこと忘れたように暮らしている。

でも、いつかくる別れのさみしさに身構えるより、

つらいとかさみしいという感情が湧いたときに、

それをちゃんと感じ尽くすことなんだと思う。

 そうやって目の前にある日常を精一杯生きるほうが、

ぼくは生きている感じがする。

 

大きな川の上流から流れる小石が、

いろいろな石や岩にぶつかりながら、その影響を受け、

形を変え、下流に向かって流れてゆく。

同じところでぐるぐるすることもあれば、

岩に堰き止められ、しばらくとどまることもある。

そんなことにはお構いなしで、川は流れをとめることはない。

その川のどこかに必ず小石はいる。

小石の意志でそこにいる。

出会いと別れに関係なく、

ぼくの普通はただぼくによってつくられている。