今日のふとす

モットーは「毎日開店」。

自由の周りで。

亀吉のお尻を眺めている。

普段はじぶんの部屋でパソコンを開くのだけれど、

今日のこの時間は誰も家にいないため、

リビングにある椅子に座っている。

おかげで水槽の中の亀吉の動きを見たり、

金魚の水槽から流れるモーター音を聞いたり、

いろいろと新鮮だ。

 

そういえば、高校生のころの夏休みに、

家では勉強に集中できないからと図書館に行った覚えがある。

図書館の勉強専用のフロアにある部屋には、

ざっと100人ほどの学生が机に向かっていて、

それだけたくさんの学生がいるにもかかわらず、

そこはしんと静まり返っていた。

ぼくも習って勉強をし始めたのだけれど、

一切の物音を許さないような静けさにすぐにたまらなくなり、

ものの5分で部屋をでた。

そのとき偶然仲のよい友達も勉強しに来ていて、

彼もまったく同じ気持ちだった。

ふたりで図書館の外に出た途端に、

「あんなところでやってられるか」と笑いながら言い合い、

そのまま連れだって近くにあるお好み焼き屋に向かった。

あのとき食べたお好み焼きはめちゃくちゃうまかった覚えがある。

結局、ぼくは勉強がしたくなかっただけなのだ。

そんなことを思い出して、

どうしようもない奴だと思う一方で、

なかなか楽しんでたなと思うじぶんもいる。

 

亀吉がこちらを向いている。

首をのばしたり、ひっこめたりして、

あたりの様子をうかがう。

これ以上進むことのできない水槽の側面で、必死に足をばたつかせる。

もしも亀吉の気持ちがわかるとしたら。

亀吉が「こんなところでやってられるか」と思っているとしたら。

そのときは、どこか住み心地の良さそうなところを探して、

そっと逃がしてあげようと思う。

定期的に覗きに行って、もしもまたうちに帰ってきたそうだったら、

何も言わずに連れて帰ろうと思うのである。

自由の周りでは必ず支えてくれている誰かがいるってことを、

忘れちゃいけないんだよね。